つわり対策

東洋医学から考える、つわり中の食事

基本、つわり中は、『食べられるものを食べられるだけ』なので、
それほど、こだわる必要はないのですが、せっかく、鍼灸師なので、今日は、こんなテーマで書いてみます。

東洋医学から考える、つわり中の食事について。

 

ふつう「つわり中の食事」というと、
たいてい、「何を食べたらいいか?」っていう流れになると思うのだけど、

東洋医学では、「何をするか」ではなく、「どうあるか」が大切になります。

 
なので、身体の中で、食べ物がどういう役割をしているか?

その食べ物に対し、どういう仕組みが働いているのか?を理解する必要があるんですね。

 
それを、おもしろい!!と思うか、まどこっこしいと思うかは、その人の生き方次第。

というわけで、今日の本題に入りますね♪

 

東洋医学では、食べることは、生きるのに必要なエネルギー【氣】を体内に取り入れるため、と考えます。

あなたの身体を、ひとつの大きな組織(会社)だと思ってください。

食べ物から、そのエネルギーを抽出するのは、『脾(ひ)』という部署の役割です。

「胃」もその仲間で、「食べ物を食べて、消化する」というイメージ通りのことをしています。

 
ただし、エネルギーを取り出す(消化、吸収)だけじゃなく、それらを身体のすみずみに行き渡らせるという働きもしています。

食べ物を食べて「おいしい」と感じる感情や、体内の水分(むくみ、肌の張り、だ液など)にも関係しています。

ここまで読むと、身体の中の『脾(ひ)』という部署が、つわりに大きく関係していることがわかります。

 

そして、『脾(ひ)』にはもうひとつ、つわりさんにとって、とても大切な役割があります。

それは、西洋医学だと、あまりなじみがないのですが、
「身体の中のものを、つなぎとめておく(外に漏れ出ないようにする)」という役割です。

 
この機能がうまく働かないと、内臓下垂(子宮が下がる)、不正出血、脱肛(痔)などが起きると言われています。

要は、お腹の赤ちゃんを、しっかりお母さんの体の中に、留めておく力ってことですね。

これって、つわりの時期で考えると、食べ物を消化するよりも、こっちの方がエネルギーを使いそうだし、大切だって気がしませんか?

 
もともと、持っている『脾(ひ)』の力は、人それぞれです。

『脾(ひ)』が弱めという人は、こういう症状が強く出やすくなります。

なので、つわり鍼灸では『脾(ひ)』の働きを助けたり、補ったりするアプローチをしています。

 

『脾(ひ)』のエネルギーと関係が深いと言われている食べ物は、
お米、はと麦、イモ類、大棗、枝豆、オクラ、人参、ねぎ、白菜、ブロッコリー、オレンジ、牛肉 などだそうです。(ごめん、あんまり、くわしくない)

 
ここで、気をつけてほしいのは、これを多く食べればいいってわけではなく、
関係が深いってことは、助けもするが、害にもなりやすい、良いも悪いも影響を受けやすいって意味です。

「じゃあ、どうすればいいの?」ってところが、東洋医学の難しさであり、おもしろさでもあるのだけれど、

とりあえず、つわりさんは、

「身体の中の『脾(ひ)』っていう部署が、赤ちゃんを守るために働いていて、そのせいで、食べ物を食べる機能がうまく働いていない(人手不足)なのね」

ってことを知っておくだけでもいいと思います。

なぜなら、あなたは、その会社の社長で、
社長のあなたが、そこに意識を向けるだけで、氣は流れる(人材が派遣される)から、それだけも『脾(ひ)』の助けになります。

 

『脾(ひ)』のほかに、妊娠に大きく関係する部署は、あとふたつ。

それは、『肝(かん)』と『腎(じん)』という部署です。

 

『肝(かん)』は、精神的な安定や、血を配分・全身にめぐらせる役割を担っています。

眠りに関する事、デトックス、あと『脾(ひ)』を助ける役割もあります。

つわり期だと、眠気、めまい、頭痛、イライラ、やる気が起きない、吐くほどではないが、ずっとすっきりしない・・という症状につながります。

 
『肝(かん)』を助ける食べ物は、旬の貝類、香りのよい木の芽やうど、ふき、青野菜、「酸味」のあるものなどです。

ただ、どちらかというと、
つわり期の『肝(かん)』は、補うというより、これまでの働きすぎを休める、という感覚の方がいいなと思っています。

 

『腎(じん)』は、生命力を貯え、子孫を残していくための力をつくる部署です。

「精」とよばれる、赤ちゃんの成長や生まれてくる力、生きていく力を作ります。

生きるベースとなるエネルギーで、子どもが丈夫に育つかなどに関わってくるから、これはつわり期だけじゃなく、妊娠中を通して大切な部署ですね。

冷えとも関係が深く、食べ物では、「黒い食品」「ナッツ類」「ネバネバ系の根菜類」が良いと言われています。

 

ちょっと説明が長くなりましたが、「何をしたらいいか?」だけじゃなく、
身体の働きを理解して、「どう、あればいいか?」を、感覚的に知る。

一見、めんどくさいし、わかりにくいけど、それこそが、東洋医学の醍醐味だと思っています。

なぜなら、つわりの時だけじゃなく、妊娠中の健康や出産、子育て、そして、人生すべてに、応用が利くからです。

 
「あれをしたらいい」「これはダメ」

そんなうわべだけの情報にふりまわされない、押さえるべきポイント、土台。

そこには、そういうものが含まれていると思っています。