逆子ケアと、こころの変化
逆子ケアの場で起こること
逆子ケアの時間は、
「逆子をどうにかするための時間」というより、自分の体や赤ちゃんと向き合う時間と考えています。
その中で、妊婦さんには、いくつか共通したのこころの動きが起こると感じています。
最初に多いのは、帝王切開の可能性も半分は受け入れつつ、でも「できれば下から産みたい」という、漠然とした感覚です。
「そのためにできることはあるだろうか?あるならやってみたい」という好奇心と、もうひとつは「やるからには、ちゃんとしなきゃ」という気持ちです。
「ちゃんとしなきゃ」の気持ちの裏には、
「逆子になったのが、何か足りないからではないか」
「体が、冷えてるのが原因かも」
「運動不足だし、あまり深く考えてこなかった」
それは、赤ちゃんのことを大切に思っているからこそ、そんな思いを言葉にせず抱えている方も少なくないと思います。
でも、体にふれたり、お灸を手に取ったり、
呼吸を一緒に整えていくうちに、その“力の入り方”が、少しずつ変わっていくのが伝わってきます。
「気づいていなかった感覚」に出会う
逆子ケアの場では、
「これまで意識したことのなかった感覚」に出会うことがあります。
・呼吸が思っていたより浅かったこと
・下半身より頭や肩に力が集まっていたこと
・こんな風に体や赤ちゃんに意識を向けていなかったこと
それに気づいたとき、ジャッジや評価ではなく、
「あ、そうだったんだ」と腑に落ちる理解として受け止められる瞬間があります。
これまでの正しさや正解を決めるためではなく、「どうだったか」「いまどう感じているか」を、そのまま大切にする感覚。
それに気づくこと自体が、すでに体の変化につながっています。
ふと、言葉がこぼれるとき
体がゆるみ、呼吸が落ち着いてくると、
ふと、こんな言葉がこぼれることがあります。
「わからないまま、ただ不安でした」
「手術のことを考えると、怖くて」
「実は、周りの事情に気がかりなことがあって、、」
それは、とても自然な流れだと感じています。
体が安心すると、こころも自然と動き出すのだと思います。
涙が出ることもありますし、反対に楽しくたくさんしゃべることで、気がめぐる方もいます。
どちらも、とても自然な反応です。
逆子ケアは、気持ちを整える場でもある
逆子ケアの中で起こる、こうしたこころの動きは「弱さ」や「迷い」ではありません。
むしろ、赤ちゃんを迎える準備として、必要なプロセスだと感じています。
不安がなくなることよりも、
不安があっても、そのまま抱えられること。
『不安でいいよ、怖くていいよ』
『怖いと言ってくれてありがとう』
『どんなことがあっても赤ちゃんは味方』
結果を急がず、
「いまの自分と赤ちゃんは、どう感じているかな」と
立ち止まれること。
その積み重ねが、お産に向かうこころの土台を、静かにつくっていきます。
何かが「変わる」というより
逆子ケアの場で起こる変化は、劇的なものではありません。
でも、
・呼吸が少し深くなる
・表情がやわらぐ
・赤ちゃんと自分のつながりに想いを馳せる
・お腹や足元に触れる手がやさしくなる
そんな小さな変化や積み重ねが、その人と赤ちゃんの関係を、確かに変えていくのだと思っています。
逆子という出来事が、何か大切な変化の芽を、そっと動かし始めるきっかけになるのかもしれません。
