お灸が逆子ケアに使われる理由

逆子のケアとして「お灸がいい」という話を聞いたことがあるかと思います。

実際、お灸は昔から、逆子ケアのひとつとして用いられてきました。

以前、どこかのドクターのSNSで「普段は東洋医学を信じない医者も、なぜか逆子の時は、”お灸とかいいらしいよ”と言う」というような投稿を見かけて、これはおもしろいな!と思ったことがあります。

それぐらい有名な逆子のお灸ですが、「なぜお灸なのか」きちんと説明される機会はあまりないかもしれません。

東洋医学では、体の状態を全体で見ていく

東洋医学では、症状だけを見るのではなく、体全体のバランスや流れを大切にします。

逆子も、ただ「赤ちゃんの向き」だけの問題として捉えるのではなく、
・体の冷え
・血のめぐり
・緊張の強さ
・休み方や呼吸
といった、体全体の状態と合わせて見ていきます。

さらに、そのような体の状態が起きる理由として、このろや気持ちともつながっていると考えます(身心一如)

その中で特に、体の不調の原因として注目されるのが「冷え」という考え方です。

冷えは、動きにくさにつながりやすい

体が冷えていると、血のめぐりが滞りやすくなり、筋肉や組織もゆるみにくくなります。

お腹や骨盤まわりが冷えていると、子宮の中も、どこか余裕の少ない状態になりやすく、赤ちゃんにとって動きづらい環境になってしまうことがあります。

そのため、逆子ケアでは「どうやって、赤ちゃんの向きを変えるか」ではなく、どうしたら動きやすい環境になるかというのが、大切な視点になるのです。  

お灸は、体を内側からあたためる方法のひとつ

お灸は、体の表面だけでなく、内側からじんわりとあたため、血のめぐりや体の感覚に働きかけるものです。

お灸をするツボが入り口となり、経絡という気の通り道を通じで、体の中の冷えやすい部分にあたたかさを届けることで、体がゆるみ、本来のめぐりが取り戻すこと。

逆子ケアにお灸が使われてきたのは、赤ちゃんを無理に動かすためではなく、赤ちゃんが自分で動ける環境を整えるためなのです。

「効かせる」のではなく「整える」ためのもの

お灸というと「このツボにすれば効く」というイメージを持たれがちですが、逆子ケアでのお灸は、何かに「効かせる」ための刺激ではありません。

体をあたため、感覚を取り戻し、自分の体の状態に気づくための、これとない道具です。

そんな積み重ねが、体の緊張をやわらげ、結果として赤ちゃんが動きやすい土台をつくっていくのです。

次の記事では、「セルフお灸」という選択について

ここまで、なぜ逆子ケアで「冷え」と「お灸」が大切にされてきたのか、その関係をお伝えしてきました。

次は、わたしが、なぜ「自分でお灸をすること」を大切にしているのかという視点について、お話しします。

それは、技術の話というよりも、体との関わり方、赤ちゃんとの向き合い方に関わる、大切な考え方です。

 

逆子のお灸|助産院ある(沖縄うるま市)