鍼灸治療って、つわりに効くの?という疑問をお持ちの方へ。
日本では、鍼灸ってまだまだ、マイナーな分野。
だけど、意外なことに、
世界のあちこちでは、つわりとはり治療について、臨床研究がおこなわれているんです。
今日は、そんな研究事例をご紹介します。
●中国での研究報告
90名の妊婦さんを、無作為に3つのグループにわけ、7日間、それぞれ異なった治療を行い、その結果を比較しました。
3つのグループとは、①はり治療を行ったグループ/②西洋医学的な経口薬を投与したグループ/③漢方薬を服用したグループ です。
その結果、①はり治療を受けたグループは、吐き気などのつわり症状が、96.7%も改善しました。
ちなみに、②西洋医学的な経口薬を投与したグループは46.7%、③漢方薬を服用したグループは60.0%でした。
(Zhongguo Zhen Jin,29(12),2009)
つわり症状が、約9割も改善するってすごいですよね!!
しかも、①はり治療を行ったグループは、
つわりの症状だけでなく、ケトンや電解質のバランスも大幅に改善という結果だったそうです。
自覚症状だけでなく、実際の採血データも改善したとなると、鍼灸への期待が膨らみます♪
●イタリアでの研究報告:
はり治療を行った妊婦さんと、吐き気止め+ビタミン剤の点滴を行った妊婦さん(計88人)を比較しました。
吐き気の強さや嘔吐の回数などのつわり症状は、鍼による治療と、吐き気止め+点滴は、ほぼ同じくらい改善度でした。
ただし、吐き気止め+点滴による治療では、症状の経過が安定していのに対し、はりによる治療を受けた妊婦さんの方が、より、日常生活機能がよくなりました。
(Minerva Ginecol, 57(4),2005)
●イギリスでの研究報告
吐き気のある、6~10週の妊婦さん55名に対し、
はりによるツボ刺激と、つまようじによるツボ刺激で、比較を行いました。
すると、両方のグループの吐き気が、大幅に軽減されました。
吐き気のスコアは、はりグループは85.5→47.5、つまようじグループは87.0→48.0へ改善しました。
(Obstet Gynecol, 97(2), 2001)
つまようじでもいいんだ!!って思いました?笑
そうなんです、東洋医学では「何が」ではなく「どう」やるかが大事なのです。
皮ふへの刺激だけでも効果があるということが、やはり、とても興味深いです。
●オーストラリアでの研究報告
妊娠初期の妊婦さん593名に行った調査です。
①伝統的なはり治療/②つわりに効くとされている【内関】の指圧/③つまようじによるツボ刺激/④なにもしない
この4つのグループにわけて、比較したところ、①伝統的なはり治療を行ったグループが、症状改善するまでの時間が早かったという結果になりました。
(Birth, 29(1),2002)
伝統的なはり治療というのが、具体的になにをしたのか、気になるところです。
②つわりに効くとされている【内関】の指圧/③つまようじによるツボ刺激 とグループをわけているので、おそらくですが、どこのツボやなにで刺激するということを決めずに、その人の体調や体質に合わせて、はり治療を行ったという意味ではないかと推測しています。
●スウェーデンでの研究報告
病院で、一般的なつわり治療に、はり治療を追加しました。
両者を組み合わせることで、吐き気や嘔吐などのつわり症状が、早期に改善されました。
(J Pain Symptom Manage, 20(4), 2000)
正直にいうと、
対象となる妊婦さんの人数や、具体的にどんなはり治療をしたのか?純粋に鍼治療だけの効果だけなのか?など、こまかい情報はちょっと不明。
(なぜなら、英語の論文で、全貌を読み解くのは私の力では難しく、概要だけで精一杯)
すべてを一概にいえない部分もあるとは思いますが、
それなりに、コクランレビューという、ちゃんとした世界的組織でまとめられている研究例です。
意外なことに、世界中で、つわりとはり治療の関係に注目されているのは、うれしいことです。
鍼灸が、日本でも、もっとポピュラーになったらいいなぁと思います。