逆子と【上実下虚 】― からだのバランスという視点から
ここまで、「冷え」や「緊張・余白」という視点から、からだの状態を見てきました。
今回はもう少し全体をとらえて、「上と下のバランス」という視点で見ていきます。
東洋医学での『上実下虚』
東洋医学では、気のめぐりが上に集まりすぎて、下が弱くなっている状態を「上実下虚(じょうじつかきょ)」と呼びます。
たとえば、
・頭や目をよく使う
・考えごとが多い
・あれこれ、何かと忙しい
・気がかりなことがある
・周りのことで気を遣っている
などあると、
・気が上にのぼりやくなる
・呼吸が浅くなりすい
その結果、
・お腹や骨盤まわりの感覚が薄い(横になって、赤ちゃんがポコポコよく動きはじめて「そういえば、今日の昼間、赤ちゃんどうしてたっけ?」と思う、など)
・足元が冷えやすい
・どこか落ち着かない感じがある(夜、寝てても頭の中だけ忙しい感じがする。つい、スマホをさわってしまう、など)
こうした状態が重なると、からだの中で上と下のバランスが、少しずつ偏っていきます。
本来の妊婦のからだ
現代の生活は、どうしても頭や目を使う時間が長くなりがちです。
考えること、画面を見ること、気を配ること。
そうした時間が積み重なると、気が上半身にのぼったまま、下におりていきにくくなります。
本来、妊婦さんのからだは、上は軽やかに、下はどっしりと安定している状態がとても自然です。
なので、お腹が大きくなるにつれ
「うっかり忘れ物がふえる」
「先の予定が考えられなくなる」
「人とのやりとり、メールなどのレスポンスがいつもより遅くなる」
こういうことの方があたりまえだったりします。
でも、そういう状態が、普段の自分とかけ離れていると感じたり、からだの緊張などから気が頭や胸のあたりにとどまり続けると、下の方の巡りが弱くなって、アンバランスが生じます。
お腹の赤ちゃんへの影響
からだ全体のバランスが偏るとき、それはお腹の中の赤ちゃんにも、影響します。
なぜなら、赤ちゃんや子どもは素直でまっすぐなので、お母さんの「気」が集まる方に、自然と意識を向けるからです。
赤ちゃんって、大人が大事にしている財布や鍵、テレビのリモコン、大好きですよね。
(おもちゃのリモコンやダミーの財布を渡しても、すぐに飽きちゃう)
赤ちゃんは心地よい場所を探しながら向きを変えていますが、気が上半身にのぼったまま下におりていかない状態では、その位置や向きにも影響が出てくることがあるのです。
気をおろそうと思っておろせるものでもない
こうして見ていくと、これまでの「冷え」や「余白の少なさ」も、上実下虚というバランスの中でつながっていることがわかります。
だからこそ大切なのは、無理矢理、気をコントロールしようとすることではなく、自然とバランスが戻っていくような関わりです。
日常の過ごし方や生活のスタイルを少し見直す必要もあるかもしれません。
余計な気を使わず、ゆったりとからだをゆるめる中で、上にのぼっていた気がすこしずつ下へ流れていく。
・呼吸が少し深くなること
・足元の感覚が戻ってくること
・下半身にじんわりとぬくもりが戻ってくること。
そうした変化の中で、からだは本来のバランスを取り戻し、結果として赤ちゃんにとっての居場所も整っていくのだと思います。
