からだの緊張と逆子 ― 『余白』という視点から
知らず知らずのうちに緊張している、妊娠中の身体
「気づくと、どこかに力が入っている」
「リラックスしようとしても、うまく抜けない」
そんな感覚はありませんか?
妊娠中のからだは、日々変化し続けています。
お腹が大きくなることへの適応や、環境や気持ちの変化の中で、知らず知らずのうちに力が入りやすくなることがあります。
実際のケアの中でも、背中や肩の緊張、お腹まわり・骨盤や股関節のかたさ、呼吸の浅さといった状態がよく見られます。
こうした緊張が続くと、からだの中の「余白」が少なくなっていきます。
本来、やわらかく動き、広がったりゆるんだりできるはずの部分が、どこか固定されたような状態になる。
すると、からだの巡りにも少しずつ影響が出てきます。
からだの緊張と赤ちゃんの動き
赤ちゃんは、お腹の中でゆっくりと向きを変えながら、自分にとって心地よい位置を探しています。
からだに余白が少ない状態では、その動きが制限されてしまうこともあるでしょう。
また、緊張が続くと、呼吸も浅くなりやすい。
妊婦さんの大きいお腹では、どうしても呼吸が浅くなってしまうという方は多いです。
そういった浅い呼吸が、さらにからだの緊張を招く、というからだの仕組みもあります。
からだの中では、ひとつながりの変化として起きている
こうして見ていくと、緊張はそれ単体というより、冷えや巡りの偏りと関係している、つながっていることがわかると思います。
冷え、緊張、めぐりの状態。
それぞれ違う言葉で表していますが、からだの中では、ひとつながりの変化として起きていることが多いのです。
力をぬこうと思ってぬけるものでもない
だからこそ、「力を抜こう」と意識的にがんばっても、なかなかうまくいかないことがあります。
わたしたちのからだは、無意識のうちに入っている力が「あたりまえ」になっていると、自分では気づきにくいものです。
まずは、「よけいな力が抜け、リラックスした状態」にふれてみること。
施術の中でからだがゆるんでいく感覚を体験することで、はじめて「これくらいでいいんだ」「思った以上に緊張していたかも」と、からだが思い出していく。
そういう時間が必要なのだと感じます。
力を抜く=不安定になるの罠
ですが、ただ単に力が抜ければいい、というわけではありません。
力が抜けすぎると、どこか不安定で落ち着かない感覚になることもあります。
これは、いわゆる「気が抜けた」状態です。
大切なのは、無理にがんばって保つ緊張でもなく、ただ抜けているだけの状態でもなく――必要なところには自然に力があり、無駄な力みはない、そういう状態になること。
余白が戻ってくる過ごし方とは
「じゃあ、どうすればいいの?」
正解の答えはひとつではありません。
気持ちよく背のびするとか、ストレッチするとか、いい姿勢でいるとか、落ち着いた気持ちで呼吸してみるとか..
そのための方法を追い求めるというより、どうしたら、自分はその状態でいられるか?
探りゆれながら、真ん中を見つけていく過程。
他の誰でもない、自分自身の身体と心、そして、赤ちゃんとの対話。
そのとき、からだの中では気がめぐり、呼吸が深まり、安定したままゆるんでいる状態が生まれていくのだと思います。
自然とゆるんでいくような関わりの中で、少しずつ、余白が戻ってくる。
そのことが、妊娠中のからだには、とても大切なのだと思っています。
