
前回は、
よしもとばななさんの小説から言葉をお借りして、
わたしが思う、身体との向き合い方について書きました。

第47話で紹介したこの考え方は、
私がひとめぼれした東洋医学の考え方に通じています。
その中でも、好きな言葉に、
【テンネンノハタラキ】という言葉があります。
これは、江戸時代の養生書『病家須知』(今でいう「家庭の医学」な本)に記載されている言葉です。
みな、身体の元気がその病毒を追い払い、体外へ排除しようとするのである。これは自然作用力(テンネンノハタラキ)のなすところであり、医者はただその足りない力を助け、病毒に対抗する元気が負けないように、薬や鍼灸を用いるのである。
平野重誠著『病家須知(びょうかすち)』(農山漁村文化協会刊)巻之一「みだりに薬をもちうべからざる心得を説く」
人の身体がもっている自然治癒力=自然作用力に、
あえて、カタカナで【テンネンノハタラキ】と書いているところが、乙だなぁ。
テンネンノハタラキ・・いい響きだと思いませんか。
最近は、「アーシング」とかいう言葉もありますね。
自然に触れることで、
エネルギーを浄化したり、循環させることですが、
そういえば、
3人目のつわりの時に効果を発揮したのも、アーシングだった気がします。
(当時は、そんな言葉は知らなかった)
デトックスだ、エネルギーだ、気を流すんだといったところで、
人が人に意図的に働きかける力なんて、自然と比べたら、たかが知れている。
それを数年前、屋久島に行ったときに、強烈に体感しました。
けれど、ほんの少しでもいい、そこに近づきたい。
傲りではなく、治すとはちがう。
でも、よくなる。
自然の力。
【テンネンノハタラキ】
身体、自然の一部、共鳴する。
ただ、そこに“在る”もの。
そんなチカラ。
もうひとつ、ご紹介したいのが、【邪正一如】という言葉。
かんたんにいうと、「清も濁もあわせもつ」という意味です。
「身心一如」という言葉は知っている人も多いかもしれませんね。
身体と心はつながっているよという意味ですが、
どちらも、もともとは、仏教の用語だそうです。
気を扱う、東洋医学では、
身体にいいものを「気(生気)」と呼ぶのに対し、身体に悪い影響を与えるものを「邪気」と言います。
なので、鍼灸治療を行う際、
鍼やお灸を使って生気を補い、邪気を払う・追い出すという考え方もあります。
ですが、私は、
生気=良い、邪気=悪いという分け方が、あまり好きではありません。
それは、一方的な視方によるという気がするから。
エネルギーに良い・悪いという判断は存在しないと思っているからです。
『邪正一如』とは、
「正気」と「邪気」を対立させないという考え方です。
人は生きていく上で、
生も邪も、両方をあわせもっています。
それはどちらも、動きながら変化していくエネルギー。
『邪生一如』という言葉を聞くと、
いつも、マンガ版ナウシカのこのシーンを思い出します。
風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」 (日本語) コミック 第6巻より
「闇は私の中にもあります」
「だとしたら、このものはすでに私の一部です」
人生のバイブルと言っても過言ではない、大好きなマンガ、
いつか、マンガ版ナウシカについても語ってみたいと思いますが、
その前に、
もし、この言葉に出会っていなければ、今こうして、この仕事はしていなかったかもしれないと思う、心が震えた言葉をご紹介します。
