
はたして、安産のお灸はホントに効くのか?
ついに、その答えが、明らかになりました。

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第一子となる長男を出産して、産後の入院生活が始まりました。
わたしは、子どもは3人とも母乳で育てましたが、
母乳育児を始めるにあたり、印象に残る出来事があるので、ちょっとした参考までに、それについて書いておこうと思います。
わたしが出産した病院は、母乳育児をはっきりと推奨している病院でした。
もちろん、わたし自身も、当然のように母乳で育てるつもりでいました。
妊娠中から、担当の助産師さんには問題ないでしょうといわれていたし、教えてもらっていたおっぱいケアも、時々、自分でやったりしていました。
助産師時代の経験からも、
あかちゃんに吸わせていれば、それなりに出るもんだと、勝手に思っていました。
ところが、そうでもなかったんです。
お産直後のトラブルもなく、体調は順調そのもの。
母児同室でしたから、ずっとあかちゃんと一緒で、頻回に授乳もしていました。
でも、産後2日目まで、おっぱいがほとんど出なかったんです。
あかちゃんの体重も少しずつ減って、
黄疸も出てきたので、糖水を足しながら、様子をみることになり、さすがに、焦りが出てきました。
産後のホルモン変化で、メンタル不安定なわたし。(産婦さんはみんなそう)
それまでは、寝ていることが多かった赤ちゃんも、
3日目には、お腹がすくとキーキー泣くようになり、その夜、ピークを迎えました。
おっぱいを吸わせても出なくて、
泣いて、あわてて吸わせようとするけど、うまく吸うことができず、また泣く・・
産後の経過は順調で元気だといっても、
身体の疲れは残っているし、骨盤は劇的に不安定だし、明らかに普段のメンタルとはまったく違う。
とくに、産後3日目というのは、
産後ハイが落ち着いて、状況も冷静にみえてくる。
正直、大丈夫だとタカをくくっていたわたしですが、
だんだん、このままじゃダメかもしれないと思いはじめました。
泣いているあかちゃんを膝に抱いて、
どうしたらいいかわからず、途方にくれていたら、泣き声を聞いた助産師さんが部屋に入ってきました。
助産師さんは、
あかちゃんの体重が増えていないことを気にかけてくれていたみたいで、さっそく、授乳の様子をみてくれました。
「抱き方は上手、乳腺も開通している。だけど、お腹がすいた赤ちゃんがあせって、吸い方が浅くなるのが、おっぱいが出ない原因だ」
と、指摘してくれました。
そして、指摘しただけでなく、
一晩、腰をすえて、わたしの授乳につきあってくれたんです。
何度も授乳のたびに部屋にやってきては、最初から最後まで。
赤ちゃんの抱き方をかえてみたり、
口にふくませるタイミングを調整してくれたり、
搾乳した数ミリの母乳をカップで飲ませてみたり、
細いストローを使って吸う練習をさせてみたり、
とにかく一晩中、ずっと、付き添ってくれました。
正直、わたしの方が先に心が折れて、あきらめモードに入りかけました。
「もうムリかも・・」と半分泣きながら、暗い部屋で、必死に格闘していました。
でも、助産師さんはやさしく落ち着いた様子で、
根気強く、「大丈夫、大丈夫だから」と、何度も励ましてくれました。
明け方早く、空がうっすら明るくなり始めた頃、
少し落ち着いたのを見計らって、助産師さんは「診察があるから、連れていくね」と、あかちゃんを連れて行ってしまいました。
その間に、わたしは爆睡。
おそらく、気を利かせて、長めに預かってくれたんだと思います。
目が覚めたら、朝になっていて、気分もスッキリしていました。
そのあと、もう一度、助産師さんがやってきて、授乳を手伝ってくれてくれました。
授乳の後、赤ちゃんの体重を測ったら、
ほとんど変わらなかった体重が、少しだけ増えていました。
今までとは、明らかにちがう感じ。
それをみて、助産師さんは素直によろこんでくれたけど、わたしはまだ半信半疑。
ぬか喜びするのが怖くて、たまたまなんじゃないか・・と疑っていました。
ところが、その次の授乳も、その次の次も、母乳の量が次第に増えていったんです。
その晩(4日目の夜)には、
あかちゃんが落ちついておっぱいを吸っているというのが、はっきりとわかりました。
前の晩とは、大違い。
それ以降、
おっぱいは、順調すぎるほど出るようになり、あかちゃんの体重も増えていきました。
黄疸も問題なく、母乳だけで過ごせるようになりました。
でもね、3日目の夜、
助産師さんの助けがなかったら、こうはならなかったと思うんです。
わたしは、半分あきらめかけていたのに、
助産師さんは「大丈夫」という落ち着いた態度で、根気強く、手を貸してくれた。
やさしく、へんなプレッシャーは与えず、ずっと、側にいてくれたんです。
ありがたいなと思いました。
助産師さんは、神だな。と思いました。
ひとりきりだったら、無理だったと思います。
母乳育児に関しては、
入院中、助産師さんのケアが受けられなかったとか、逆に、スパルタすぎてトラウマになったとか、いろいろな話を聞きます。
わたしは、母乳育児がすべてではないと思っています。
が、「できれば、母乳で育てたい」と思うのは、当然の願いだとも思います。
「できれば・・」にどれだけの想いがあるのか、まずは、意思をはっきりさせる。
次に大事なのは、病院の方針と相性。
出産場所を選ぶ時、産むことだけにフォーカスして、その後を考えていないことも多い。
どういう方針の病院なのか、どんなケアを受けられるのか確認して、妊娠中から意思表示をしておくことも必要だと感じます。
そして、人の力を借りること。
できる限り、たくさんの人の力を借りた方がいい。
わからないから、
できないから、
ひとりじゃむずかしいから、
はじめてでどうしたらいいかわからないから、
力を貸してください。
せっぱつまってからでなく、
余裕があるうちに、そういえる場所をたくさん作っておいたほうがいい。
勝ち負けではないけれど、
先に弱みを見せた方が勝ちという気がするんです。
少なくとも、子育てをする上では。
助産師だから、看護師だから、先生だから、
2人目だから、3人目だから、ベテランだから・・?
そんなの、関係ない。
そう思います。
母乳育児をしたいと思うなら、
初めの出産の、初めの3日間ってホントに大事なんだなということを思い知らされました。
その場に付き添う助産師さんの偉大さとありがたさも。
おかげで、その後の子育ても順調にスタートすることができました。
