
不妊治療で大切なこと
妊娠するためのカラダづくり

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卒業を間近に控えた2011年3月11日、
地震が起きたのは、学校の授業中でした。
地震の後、世間は自粛モード。
卒業式は取りやめになりましたが、
無事に国家試験にも合格し、晴れて、鍼灸師になることができました。
卒業後、修行もかねて就職先に選んだのは、小児はりを行っている鍼灸院でした。
小児はりとは、小児鍼(しょうにしん)ともいい、子どものための鍼灸治療のひとつ。
特徴は、刺さないハリです。
大人の施術とは違い、
金や銀などの金属でできた短い棒やヘラなどを使用し、皮膚をやさしくなでるなどの刺激を与える治療法です。
鍼に刺さないので、まったく痛みはありません。
小児はりは、
夜泣き・疳(かん)の虫・下痢・便秘・落ち着きがないなど、子どもに特徴的な症状やアトピーや喘息などの疾患にもに効果があると言われています。
鍼灸院はたくさんありますが、
小児はりを行っている治療院は、それほど多くはありません。
対象が子どもになるので、そのための専門的な知識と技術が必要なのです。
なぜ、小児はりをやりたいと思ったのか?
その理由は、3つあります。
一つ目、
鍼灸師の資格を取る時に、いずれは妊婦さんや産後のお母さんを助けるためと決めていました。
お母さんの健康は、子どもの健康につながります。
子どもの健康はお母さんの力になる、幼い子どもとお母さんはセットです。
いつか、そのために役立てるつもりで、小児はりを選びました。
二つ目、小児はりの特徴は、刺さない鍼です。
刺激にデリケートな子どもにも安全に対応するため。
「針って、刺さなくても効果はあるんですか?」と聞かれることがあります。
こたえはYES。
鍼灸は、気を扱う技術です。
施術では、気を動かすことが重要です。
もともと、子どもは気が動きやすく、
逆に、強い刺激は悪い影響を与える可能性があります。
デリケートな身体といえば、妊婦さんも同じこと。
強い刺激でなくても効果が出せる技術が必要だと考えました。
3つ目、子どもの皮膚は、とても正直です。
それだけ、快と不快がはっきりしているということ。
不快な触り方をすれば、バリアを張られて、施術効果が得られません。
逆に、カラダが心地よい触り方をすれば、それだけで気が動くことがある。
だから、肌の触れ方がすごく大切なんです。
その考え方と技術は、
今のわたしの手当てや深いタッチにもつながっています。
そういうわけで、
小児はりを行っている鍼灸院で働かせてもらえることになりました。
働き始めてしばらくたった頃、はじめての妊娠が発覚します。
そして、まったく予想していなかった地獄のつわりが始まってしまいました・・
