マイストーリー

第17話:NICUで働いてよかったこと

(1000gで生まれた受け持ちのベビーちゃんが退院する時)

医療に頼り過ぎるのも、医療を否定し過ぎるのも、どっちもどうかと思うんですよね。

第16話:いのちの重さは千グラム NICUに転属を希望したワケは・・ https://karada-kulumi.com/mystory/015/ ...

 
NICUで働いてよかったこと。

それは、面会に来たお母さんたちの搾乳や授乳のケアができて、とても喜ばれたこと。

産科での経験は、かなり助けになりました。

 

あかちゃんがNICUに入院しているお母さんたちは、たいてい、出産した病院では母乳のケアができていないことの方が多いんです。(それどころじゃないってのもあるけど)

なかには、搾乳機と母乳パックの話しかされなかったというお母さんもいました。

だから、搾乳のやり方がよくわからなかったり、ケアしないまま、母乳が止まってしまったり、抱っこに慣れてなくて母乳を吸わせることができなかったり・・

命が優先の現場なので、
どうしても、NICUでの母乳のケアは、後回しになってしまう感があります。

でも、小さなあかちゃんにとって、
母乳は消化や免疫に良いし、お母さん自身にとっても、自尊心を支えるものだったり、大切な要素にはちがいはないのです。

 

たとえば、あかちゃんが小さく生まれると、
すぐに母乳を吸わせることはできず、いざ、直接母乳(直母)の許可が出た時には、あかちゃんは哺乳瓶に慣れてしまっていて、おかあさんもおっぱいを吸わせるのための抱っこの仕方がよくわからず、困ってしまうというようなパターンがけっこうあったんですね。

 

こんな事がありました。

この方も、あかちゃんが小さく生まれてずっと保育器にいたため、直母の経験が少ない方でした。

あかちゃんの体重がふえてきて、面会時には直接母乳の許可が出ていたので、
ちょうど担当になった日に、授乳の様子をお手伝いをしながら、あかちゃんがお母さんのおっぱいを吸うことに成功しました。

ところが・・
吸い方が浅かったのか、それまであまりおっぱいのケアをしてこなかったせいなのか、短時間なのに、おかあさんの乳首に傷ができてしまったんです。

 
わたしの配慮が足りなかったと謝ると、そのお母さんが、

「ちがうんです。この子が生まれて、はじめておっぱいを吸われる感覚を味わうことができたから、うれしくて、浅くなっているのはわかっていたんですけど、離すのが惜しくて、そのままにしてたんです。大丈夫です。こちらこそ、すいません。ありがとうございます」

と涙目で、お礼をいわれました。

 

それは、産科で働いていた時とは違った感覚でした。

「母乳育児がすべてじゃない」

素直にそう思いました。

 

母乳育児について語りだすと止まらなくなるので、
それについては、またどこかで改めて書きますが、とにかく、NICUで働いてよかったことは、これまでとは違う視点を持てるようになったこと。

子育てや人生において、どれかひとつだけが正しいなんてことは、ぜったいにないのですから。

 

とくに、東洋医学の勉強をするようになってから、
そんな風に、広い視点をもてるようになったと思うのですが、いよいよ、NICU2年目に、鍼灸師になるための専門学校行きを決意します。

決めるまでに、けっこう葛藤はありました。

第18話:もしも、380万円あったら・・ おっぱいはすばらしい。 だけど、母乳育児がすべてじゃない https://karada-kulumi.com/mysto...

 

くるみ助産院の
マイストーリーズ


これまでの道のり、世界観や人生観を、
第1話~第〇〇話までのマイストーリー形式で綴っています。

読めば、助産師の鍼灸師 下地あやの のことがもっとよくわかります。

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  • 病院時代の忘れられないエピソード
  • 鍼灸師になったのは恋におちたから
  • 三度にわたる壮絶なつわり体験記
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